契約書の必要性① ― なぜ契約書が必用なのでしょうか ―

2024年9月6日 2024年10月14日

katot

口約束、メール、黙示の了承でも「申込」と「承諾」があれば契約は成立します^※。契約内容を証拠として残すために作成されるのが契約書ですが、買い物やタクシーに乗るときにいちいち契約書を取り交わしません。

日常生活でいちいち書面を交わすことなどできませんが、契約書がなくても問題が生じることはまずありません。
しかし、ビジネスにおいてはリスク管理の観点から契約書の作成は必須です。

※ 保証契約など、一部例外的に書面が必要な契約もあります。

理由1：合意内容の明確化

口約束や黙示の合意では、契約内容がどのようなものだったのかをあやふやな記憶に頼らざるを得ません。メールは証拠にはなりますが、内容にあいまいさがあれば不明確性はぬぐえません。
契約書を作成すれば合意内容を明確にすることができます。

契約書がないとお互いの責任範囲が不明確になります。そのため、契約違反があった場合に違反者に対しどのような対応がとれるのか、違反者側からみるとどういったペナルティがあるのかが直ちには分かりません。
契約書を作成すればその作成・交渉の過程で各当事者の責任を明確にすることができます。

契約の解釈に対立が生じた場合に、契約書がなければ相手に自分の正当性を主張することが難しくなります。裁判で解決することになったとしても、契約書がないと自分の主張を裁判所に認めてもらうことは困難です。
契約書を作成すれば、交渉や裁判において有力な証拠になります。

契約書を作成しないでビジネスを行うことは、保険に入らず、あるいは保険内容を知らずに自動車を運転をするようなものかもしれません。保険なしでは安心して運転することはできませんし、事故を起こした後に保証内容が十分でないことに気づいても手遅れなのです。

契約書も同じです。ビジネスが順調に進んでいるうちは何も問題は生じませんが、将来のことは誰にも分りません。適切なリスク管理の下でビジネスを進めるために契約書を作成することをお勧めします。