海外との契約書と印紙|印紙要否の判断基準と注意点を解説

英文契約書

日本国内の企業や個人同士が契約を締結する場合、その契約書が印紙税法に定める課税文書に該当すれば、所定の金額の収入印紙(以下「印紙」)を貼付して納税する必要があります。
では、日本の企業や個人が海外の取引先と契約を締結する場合には、印紙は必要なのでしょうか。

1.印紙の要否は契約書の作成地で決まります

契約書の署名

印紙税法は日本の国内法であり、その適用範囲は日本国内に限られます。

印紙税の納税義務は、課税文書が作成された時点で成立し、その作成者が負担します。契約書のように当事者間の意思の合致を証明するために作成される課税文書は、当事者の意思が合致した時点で作成されたことになります。具体的には、契約書において当事者双方の署名または押印が揃った時点が、課税文書の作成時点と判断されます。

したがって、当事者の署名等が日本国内で揃った場合(例:海外の取引先が先に署名し、日本国内の当事者が受領後に署名した場合)には、印紙税法が適用され、課税対象となります。一方、署名等が日本国外で揃った場合(例:日本国内で署名済みの契約書を海外の取引先に送り、そこで署名がなされた場合)は、課税対象にはなりません。

なお、印紙税の課税対象とならない場合には、契約の成立地や当事者の署名日を契約書に明記するなど、課税対象外であることを示す記録を適切に残しておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

【参考】国税庁HP 
 外国で作成される契約書
 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/02.htm

2.印紙要否の判断方法

印紙の要否は、以下の手順で判断します。

STEP
1:印紙税法上の課税文書か?
契約書の種類によって、課税文書に該当するかどうかは異なります。まずは、当該契約書が国内で締結された場合に、印紙税法上の課税文書に該当するかを確認します。
【参考】国税庁HP 
 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm
 印紙税額
 https://www.nt a.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran_r0204.pdf 

STEP2:契約書の作成地が日本国内か?
STEP1で課税文書に該当すると判断された場合、次に契約書の作成地を確認します。契約書における最後の当事者の署名が日本国内で行われた場合は課税対象となり、日本国外で行われた場合は課税対象外となります。

3.印紙には消印が必要です

イニシャルサインで消印した印紙

印紙税の納付を完了するには、契約書と印紙の彩紋(模様部分)にかけて消印を施し、印紙の再利用を防止する必要があります。消印には、印鑑のほか、イニシャルやサインなどの署名を用いることも可能です。

なお、消印の署名者は契約書の当事者本人である必要はなく、代理人、使用人その他の従業者によるものであっても差し支えありません。また、当事者のうち一方が消印を行えば足り、全当事者による消印は不要です。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
印紙の「消印」の方法は?消印ルールと印紙が必要な契約書の作成・送付手順を解説

4.まとめ

海外取引先は契約書に印紙が必要なことを理解していない

印紙税の要否は、契約書の作成地(署名が揃う場所)によって左右されるため、海外取引先との契約書では作成地を慎重に検討することが重要です。
海外取引先との契約書に印紙が必要と判断された場合、各当事者が契約書を一通ずつ保有するのであれば、それぞれの契約書に印紙を貼付する必要があります。その際、日本では契約書に印紙が必要であることを海外取引先に説明しなければなりません。日本の印紙は海外での入手が困難なため、日本側が相手方の分も購入し、その代金を請求する対応が求められることがあります。日本側が相手方分の印紙代を負担すれば手続きは簡素化できますが、印紙代の金額によっては負担が難しい場合もあるでしょう。

なお、印紙税の要否についての最終判断は、所轄の税務署や税理士に確認してください。また、日本国外でも契約書に印紙(印紙税・スタンプデューティ)が必要な国があります(イギリス、シンガポール、インド、マレーシアなど英米法系の国が多い)。契約内容によって取扱いが異なるため、現地の法律事務所や税理士にも確認することをお勧めします。


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