契約書様式のチェックポイント③ ― 署名欄に正しい住所、氏名等が記載されていますか ―
契約書の署名欄には氏名だけでなく、当事者を特定するための情報も記載します。
ポイント1:個人の場合は住所と氏名を記載します
個人の場合は、契約書の署名欄には住所と氏名を記載します。住所を記載するのは、同姓同名の他人がいた場合に区別できるようにするためです。住所は実際に住んでいる住所を記載すればいいのですが、個人を特定するには住民票上の住所(印鑑証明書に記載された住所)を記載してもらう方がよいでしょう。
(法人格のない)個人事業主が、屋号を使用している場合は、氏名に代えて屋号を使用することができます。また、事務所や店舗を構えている場合は、個人の住所に代えて事務所等の住所を使用することもできます。ただ、個人事業主は必ずしも登記をしておらず※、事務所に関してはバーチャルオフィスのような実態のないオフィスも存在します。そのため、住民票で特定できる個人の住所がわかるようにしたほうが安心です。この場合は、記載方法は以下のようになります。
※屋号を「商号」、営業に用いている場所を「営業所」として登記できます。
ポイント2:会社の場合は社名、会社住所、締結者の役職・氏名を記載します
契約当事者が会社(法人)の場合は、社名、会社住所、契約締結者の役職・氏名を記載します。役職を記載することで締結権限を持っていることを会社として意思表示しているといえますし、印鑑に役職印を使用する場合に個人と印鑑を特定する手段になります。
住所は登記されている住所(本店所在地)を記載します。営業所、工場など取引を行う部門が本店所在地と別の場所にある場合は、その住所を用いることも可能です。ただ、このような住所表記を用いても、あくまで会社(法人)との契約であって、契約書に記載された営業所等だけに契約の効力が及ぶのではありません。
ポイント3:記名押印又は署名が必用です
「署名」と「記名」はどう違うのでしょうか。
署名:手書きによる自書
記名:署名以外の方法で氏名を記載すること
という違いがあります。署名は単独で有効ですが、記名はワープロ等で氏名を表記しただけですので、本人の印鑑による押印と併せて効果を持ちます。
つまり、有効な契約書というためには、
A:記名押印(氏名をワープロ打ち等して、押印する)
B:署 名(氏名を手書きする)
のいずれかが必用になります。上記に加えて、
C:署名押印(氏名を手書きし、押印する)
はもちろん有効で、より契約の成立についての意思表示が明確になります。印鑑についてはこちらもご覧ください。