契約書の読み方・作り方 ― 雛形を有効活用しましょう ―

ネットには多くの契約書の雛形(テンプレート・書式)が公開されていますし、書店には契約書の雛形を解説した書籍が並んでいます。これらの雛形は大変便利なものですが、使用に当たっては注意しなければならない点もあります。
雛形の特性を理解して、有効に使用するようにしましょう。

雛形を使用するメリット

① 契約書で定めるべき条項がわかる
契約書を作成しようと思っても、具多的にどういった条項を定めればよいのかは経験がないとなかなかわかりません。雛形には契約の種類ごとに取り決めるべき条項が具体的に記載されていますので、それに沿って必用な条項を定めることができます。

② 契約書のチェックリストとして利用できる:

相手方から提示された契約書をチェックする際、契約書で定めるべき条項に「抜け漏れ」がないかを確認することができます

雛形を使用する際の注意点

① 雛形がどのような立場に立ったものかに注意が必要
契約条件は一方に有利であれば他方には不利になるものです。売買契約でいうと、「売主」と「買主」では利害が対立します。つまり使用する雛形が「自分に有利」「相手に有利」「中立的」のどれに当てはまるかを理解しておくことが必要です
立場ごとに作成された雛形や、立場が異なる場合の条項案などが記載されている雛形の使用をお勧めします。

② 具体的な事案に対応していない

雛形は、作者が想定する状況に基づいて作成されています。たとえ「売主」という立場は同じ場合でも、個々に置かれている状況は千差万別で、今回検討しようとしている状況と一致することはまずありません。
この点に注意しないと、雛形に沿って契約書を作成したことで安心してしまい、自身が置かれたれた状況に合わないままにしてしまう恐れがあります。

雛形の特性を理解して有効に活用しましょう

雛形は契約書業務には必須といっていいものですが、一つの雛形で全ての状況に対応することはできません。そのため、契約書に必要な条項を網羅できるように、また、様々な異なった状況(立場)に対応できるように複数の雛形を用意しておくとよいでしょう。
また、具体的な状況に対応させるための追加、削除、変更を加えることも必要です。
安易に雛形をそのまま利用することがないように、注意してください。