契約書様式のチェックポイント① ― 契約書のタイトルに惑わされないよう注意しましょう ―

ポイント1:契約書のタイトルは契約の法的効果に影響しません

契約書のタイトル(表題)は「〇〇契約書」といったように、契約書の内容を示すものにすればよく、特にルールはありません。

物の売買に関する契約書であれば「売買契約書」、開発委託に関する契約であれば「開発委託契約書」などが一般的です。より具体的に「ソフトウエア開発委託契約書」などとすることもあります。

「契約書」以外に「覚書」「協定書」「合意書」「念書」などの名称も使用されますが、これらも契約書を指すものであり契約の法的効果には違いはありません。「協定書」は「契約書」より重要な案件に使用される、「覚書」は「契約書」よりも法的拘束力が低いものを指しているといった理解をしている人がいますが、それは誤解です。

「覚書」や「合意メモ」など相手方が受け入れやすいような名称が使われることがありますが、大切なのは内容です。タイトルに惑わされないよう注意してください。

ポイント2:タイトルが契約の種類と一致しないこともあります

契約書のタイトルのみで契約の種類を判断しないよう注意も必要です。
請負契約の内容が含まれていたのにもかかわらず、「コンサルティング契約書」というタイトルだったため委任契約だと勘違いして印紙を貼り忘れるといったミスが生じやすいので注意してください

※委任契約書は印紙は不要ですが、請負契約書は印紙税法上の課税文書に該当し契約金額に応じた印紙を貼る必要があります。また、委任契約と請負契約では、法的な責任も異なります。

ポイント3:法的に縛られないようにするには明示が必用です

契約書のタイトルにかかわらず、合意があれば当事者間に法的拘束力が生じます。
実施項目や役割分担は書面化しておきたいが法的には縛られないようにしたい、というような場合には注意が必要です。

このような場合にタイトルを「仮契約書」「予備的合意書」「LOI(レターオブインテント)」などとしただけでは不十分で、「本契約は、いかなる場合でも法的拘束力を有しないものとする」といった具体的条件を加えておく必要があります。